オーシャン・ジオフロンティアとは 設立の経緯について

我が国の周辺海域の物理探査実施状況

エネルギー資源のほぼすべてを海外からの輸入に依存する我が国にとって、国内のエネルギー資源のポテンシャルの把握やその開発に関する技術的・経営的基盤を形成することはエネルギー安全保障の観点から国の重要な政策のひとつと位置づけられています。

このような政策的背景から国が実施する国内石油・天然ガス基礎調査事業は、基礎的な地質情報が不足している未探鉱地域等を主な対象として、国が石油・天然ガス資源のポテンシャルの概要を把握するための先導的調査活動を実施し、民間事業者による国内における探鉱・開発の促進・活性化を図るとともに、最も安定的な供給源となり得る国産石油・天然ガス資源を確保することを目的としています。本事業は、石油・天然ガスが胚胎する可能性のある地域や地質構造を特定・評価するための基礎物理探査と、実際の掘削作業により石油・天然ガスの賦存状況を確認するための基礎試錐からなります。

2007年から2018年まで、三次元物理探査船「資源」が基礎物理探査を実施しました。「資源」は経済産業省が所有し、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(以下、JOGMEC)が運航管理及び調査を受託する我が国初の三次元物理探査船であり、計画通り約6.2万㎢の海域において三次元物理探査を実施しました。

「たんさ」導入の背景と当社の役割

2018年5月に閣議決定された第3期「海洋基本計画」および「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画(2019年2月改訂)」に基づき、「資源」の後継船として新しい三次元物理探査船を導入し、2019年から2028年までの10年間の中長期計画の一部として、本邦周辺海域における基礎物理探査を展開することが決定されました。

また、新三次元物理探査船については、民間の探査会社・操船会社のノウハウを最大限活用し、コストの低減、稼働率の向上、より効果的な探査の実施を可能とするために、JOGMECが保有したうえで、民間企業がオペレーションを担う方針となりました。

こうした背景から、JOGMECが発表した「新三次元物理探査船による運航・調査委託業務の委託を前提とした同船の裸傭船契約を締結する予定者、及び同船の調達相手先を選定する公募」に、日本郵船株式会社、PGS、株式会社日立製作所の3社が共同で応札し、2018年12月に株式会社オーシャン・ジオフロンティア(通称OGF)を設立しました。公募によって「たんさ」と名付けられた本船は、2019年より日本周辺海域における物理探査業務を開始しています。

本船の写真

「たんさ」は「資源」と異なり、JOGMECが調達・保有し、当社が調査・運航業務を受託しています。当社はJOGMECから委託された基礎調査業務のみならず、JOGMECを介さない国内外の民間企業からの物理探査業務の受託を視野に入れて活動します。当社は、各株主のノウハウを活かしたより正確で効率的な「たんさ」運用により、国主導の基礎物理探査を確実に実施するとともに、新しいニーズをいち早くつかみ国内外の民間企業による「たんさ」の積極的な活用を促進してまいります。

株主

100カ国以上と航路ネットワークを有する世界最大級の海運・物流会社です。”Bringing value to life”の理念のもと、外航海運ビジネスを中心としてグローバルに事業を展開しています。2008年に海洋事業分野に進出し、石油・天然ガスのサプライチェーンの上流において、ドリルシップ、浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備、シャトルタンカー事業を展開しています。
世界最大級の資源探査会社として、物理探査データの取得からイメージングまで幅広いサービスを提供しています。14カ国に支店を有し、自ら開発したストリーマ・ケーブル GeoStreamer®を用いて世界中でこれまで900,000㎢もの三次元データを取得・解析しています。
日立は、IT(Information Technology)、OT(Operational Technology)およびプロダクトを組み合わせた社会イノベーション事業に注力しています。日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション/サービス/テクノロジーであるLumadaを通じて、IT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフ、オートモティブシステムの6分野でお客さまのデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速することで、社会価値・環境価値・経済価値の3つの価値向上に貢献します。
詳しくは、日立のウェブサイトをご覧ください。